「君が見たのは誰の夢?」森博嗣 ※ネタバレ ⑧

ミチロイについての愛と混乱のクソ長文お気持ち。



君夢に出てきたミチロイに、
地味にダメージをくらった者なので、
それを癒すためだけの文章を、とりとめもなく、
自分で自分のために処方します。
割と現実逃避なので、自分でも「うーん……」と思いながら……。


君夢のミチロイ、私の第一印象では、
「本人ではない」と感じたんだけど、
同時に「本人とは何か」という問いも生まれ。


これまでのW・WWでは、
「体は取り替えられる」ということが大前提だった。
なので、ミチロイの「体がどうなのか」は、
この際本人とは切り離す。

やはり人格、メモリ、思考回路全体が、
「本人」と呼べるものだと思う。
(共通思考の人格の生産は一旦置いておく)


そもそも、ミチルのアイデンティティが、
「クローン」であり、
「体が取り替えられた者」であり、そして、

「それでも思い出は残っている者」だと、
私は認識してるんだと思う。


ミチルはアキラのこと、マノのことを根に持っていて、
この「根に持つ」という部分、危うい執着が、
ミチルの魅力のひとつだとも感じている。
それは言い換えれば「ルーツ」ともとれる。
「自分は誰なのか」「命は何なのか」
という切羽詰まった問いが、服を着て歩いているような感じ。


君夢のミチルを「本人ではない」と感じたのもそこで、
あのミチルはつきものが落ちたような、
素直な子供のような印象だった。
救出されるまでの100年間に、
人格が変わったんだろうか?
百年のミチルの未熟なエゴみたいなものを、
君夢から読み取れなかったところに、
今回の違和感の原因がある。はず。


まぁ、言うて、
あれだけだったしね。笑(ほんとそれ)
情報量として完全に不足しているのが1番惑わされてる原因。


それから、なんとなくの違和感として、
ミチルが四季の元で大人しく暮らしているイメージが湧かない。
百年でのミチルは、デボウに心酔しているような感じもあったので、
その延長で四季に惚れ込むことはあるかも知れないけど、
私が解釈するミチルは、誰かに飼われるタイプではない。
もっとわがままで、奔放なイメージ。
勿論、ミチルが自由を欲した場合、
四季がそれを妨げるとも思えない。


そんな色々な反射が私の中に起こり、
今回出てきた、サッパリとした感じのミチルを、
その場で「本人」と思うことは出来なかった。



そういえば、それとは別に、
グアトに「あのロボットはどうしたの?」と聞かれた時、
ミチルが「ロボット?」と言っていた場面。
あの時グアトがロイディの名前を出してくれれば、
そしてミチルが、
「ロイディはウォーカロンですよ」と一言言ったら、
本人だ!と思ったかもしれない。
あの描写だと、ロイディをロボットだと認識していない、百年のミチルなのか、
記憶が壊れたり、まだ幼いクローンで認知能力が充分に育っていないが故に、情報や質問をうまく認識できていないおニューのミチルなのか、分からない。
希望的に見れば前者だが、後者の可能性を私は捨てきれなかった。


ロイディに関しては、五分五分といった感じ。
元々がドライな人格だったし、
今回の登場での振る舞いは、そのままと言えばそのままだし。
ただやはり、何故か、「ロイディだぁ!」とはならなかった。
「うそ……ロイディって言ってる……」くらいだった。
ミチルがあの調子だったので、
警戒心の方が勝ってしまったかもしれない。


……結局二人はどうなったんだろう?
W血死無でロイディが回収された時、
ロイディは動かなくなっていた。
だけど、微弱な生体反応はあった。
ということは、ミチルの脳は、
状態は分からないけど少なくとも、
死んではいなかったはず。

その状態で四季の元に回収されたなら、
・クローンをつくる
・オリジナルの脳から情報をコピーする
・クローンに情報を書き込む
ということは出来る可能性はある。
リアどこで言われていたとおり。
なので、ミチルの人格の復活は、ワンチャン、ある。

また、
君夢のミチルがバーチャル上にしか存在しない場合もある。
ただし、その場合には、素直に考えれば、
「ミチルの人格を元にした人工知能(プログラム)」
ということになり、
キャサリン・クーパやロベルト・トレンメルを参照すると、
「脳の情報をコピーする」必要があるので、
ロイディの中の脳は「使えた」ということになる。はず。
やはり人格の復活は、可能性はゼロではない。

ただ問題なのは、「それをするか」

四季は、娘のミチルが死んだ時にも、
クローンを作っている。(というかそれがサエバ・ミチルだが)
言い換えれば、人格を救うことは諦めているし、(当時は技術がなかったにせよ)
人を複製することで得られるものがあるというスタンス。
死を、一般的な死として受け入れて諦めることをしていない。
今回のことに重ねるなら、
百年のミチルの人格は救えなくても、
またクローンを作って、
生きてさえいればいいと考える可能性もある。

ロイディから脳を取り出し、
クローンを作ることがあったとして、
そこにわざわざ人格をコピーするだろうか……。


そこで気になるのが、ロイディとのリンク。

ロイディは人工知能として「面白い」育ち方をしていて、
それはミチルの接し方によるところが大きい。
つまり「ミチルの人格と人工知能のセット」がポイントであり、
ミチルのクローンを作ったとして、それが再現出来るかは保証がない。
その点で、百年のミチルの人格は、貴重なアイテムとも言える。
そしてこの二人の特殊なリンクに、メグツシュカが興味を持っていた。

その部分に四季がまだ興味をもつなら、
手間をかけてもミチルの人格を復活させる可能性は、
あるんじゃないだろうか?
逆に言えば、それくらいしか道が残されていない気もする。


でも、ロイディがあの場所に、単独で現れたということは、
ミチルとロイディのハード面での特殊なリンクのバディスタイルは、
再現されていないということだろう。
百年シリーズとWWシリーズでは技術レベルが違うので、
治療をするなら、クジの博打のようなやり方より、
もっと安全で安定的な方法を取るんじゃないか?
そこは、治療する側が何を重要視するかによって、
活かす部分と捨てる部分が変わってくるはず。


(そういえばデミアンは、四季と会ったみたいだけど、結局ミチロイのデータを解析することはできたんだろうか?)


それから、(私的に)最悪のパターンとして、
救出された際、
脳はかろうじて生きてはいたけど、
損傷があって人格の再現ができなかった可能性もある。


それに関しては、
完全に妄想御伽話だけど、
ずっと昔に「デボラが赤目姫でミチル」という妄想をしたことがあって、
キョートの事件のすぐ後に、ミチルはバーチャルに避難したんじゃないか、
それがデボラなんじゃないかみたいな話なんだけど、
その時にデボラにミチルのオリジナリティが一緒にアップロードされていれば、
それをミチルのクローンが逆輸入する形で、復活しないかな?
とかも妄想もした。
(それくらい崖っぷちに立たされたと思って憐れんで下さい)



ダイレクトに、
ミチルは治療を受けて復活し、
ロイディもボディを修理して復活した、
というのは、
勿論それが出来て、まるままご本人だったら、
最っっ高~~~~~!!となる。


でも無理だろうなとも思っている。
さすがに、逃亡の身で、100年間耐えるのに充分なメンテは受けられないんじゃないか?
持ち堪えられないんじゃないか?
というのが正直なところ。

だからこそ今回、動いて、話している彼らを見て、
ちょっと複雑な思いを抱いてしまったので、
ぐるぐると考えている。


あと誤解のないように言っておくと、
君夢のミチロイを嫌っているとか否定したいとかは、
まじで1ミクロンもない。
なんだろう、その辺は、
この複雑な思いも、おニューの彼らもひっくるめて、
全部好きなのよ。
もう狂おしいほど好き。

今後のWWで進展があるかは分からないけど、
すべてがリセットされたミチロイが出て来ても、
結局私はなんやかんやで好き好き踊りをしてしまうと思う。

概念推しなので……

パティの時みたいに、
メモリはリセットされているはずなのに、
昔を急に思い出すような場面がきたら、
私は体中の水分を涙に変えて天寿を全うすると思う。
それはそれで楽しみだね。(感覚バグ)